給与計算担当者のための子ども・子育て支援金料率マニュアル(2026/2/13)
2026年(令和8年)4月保険料分から、「子ども・子育て支援金」の徴収が始まります。 給与計算担当者としては、「いつから・いくら・何に掛かるか(給与/賞与/休職中)」を押さえるだけで、 実務の混乱を大きく減らせます。
本記事では、制度の要点と給与計算の実装ポイントを、こども家庭庁の公表資料に基づいて整理します。
1. まず結論:令和8年度の支援金率は「0.23%」
被用者保険(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合など)加入者は、基本的に 標準報酬月額 × 支援金率(0.23%)で計算します。 事業主負担は原則として労使折半(半分は会社負担)です。
2. いつから天引き?「4月保険料 → 5月の給与で控除」が基本
公表資料では、令和8年(2026年)4月の保険料から拠出が開始されます。 実務では社会保険料と同様に「翌月控除(当月分を翌月給与で控除)」の会社が多いため、 2026年5月支給給与から明細に反映する想定で準備しておくのが安全です。
3. 何に掛かる?「給与」だけでなく「賞与」にも掛かる
支援金は、毎月の給与(標準報酬月額)だけでなく、賞与(標準賞与額)にも適用されます。 そのため、春のうちに設定・テストを終え、夏賞与の計算まで見据えて準備するのがおすすめです。
なお、賞与は4月支給分より掛かりますので注意が必要です。
4. 計算の考え方(給与・賞与)
給与(月額)
- ・支援金額(月額)= 標準報酬月額 × 0.23%
- ・従業員控除額(目安)= 上記の半分(労使折半)
計算例(目安)
標準報酬月額30万円の場合:
30万円 × 0.23% = 690円/月 → 従業員負担目安 345円/月(会社も同額)
※端数処理は、加入している医療保険者(協会けんぽ/健保組合など)や給与計算システムの設定に従ってください。
賞与(ボーナス)
- ・支援金額(賞与)= 標準賞与額 × 0.23%
- ・従業員負担は原則として労使折半
5. 給与明細の表示はどうする?(実務上のおすすめ)
事業主向けリーフレットでは、明細で「支援金」を分けて記載することは法令上の義務ではない旨が示されています。 ただし、従業員からの問い合わせを減らす観点では、次のどちらかに整理する会社が多いです。
おすすめA:明細に行を追加(例:子ども・子育て支援金)
- ・「健康保険料が増えた理由」が明確になり、質問が減りやすい
- ・社内説明資料(FAQ)と整合しやすい
おすすめB:健康保険料に内包(システム都合で行追加が難しい場合)
- ・設定がシンプルな一方、社内FAQ整備(問い合わせ窓口の準備)が必須
6. 休業・免除の扱い(育休/産休)
リーフレットでは、育休期間中や産休期間中は、医療保険料や厚生年金保険料と同様に支援金も免除される旨が示されています。 給与計算では、休業者の社会保険免除設定と連動しているか(支援金だけ控除が残らないか)を必ず確認しましょう。
7. 給与計算担当者チェックリスト(導入前にここだけ確認)
制度開始前(~2026年春)
- ・支援金率「0.23%」を給与計算システムに追加できるか(別料率枠が必要なケースあり)
- ・2026年4月分(翌月控除なら5月控除)で自動計算・明細表示されるか
- ・賞与計算にも同料率が反映される設定になっているか
- ・産休・育休の免除ロジックと支援金が連動しているか
社内周知(おすすめ)
- ・「増税ではなく、医療保険の仕組みで徴収される」
- ・「労使折半で、会社負担も発生する」
- ・「開始時期(2026年4月保険料分~)」
8. よくある質問(問い合わせが増えやすい論点)
Q. 支援金率は毎年変わりますか?
A. 被用者保険の支援金率は国が示すとされ、令和8年度は一律0.23%です。 実務では、毎年度の確定率が公表されたタイミングで、給与計算設定を見直す運用が確実です。
Q. 国保の従業員(扶養のない家族など)は会社で控除しますか?
A. 国民健康保険は市町村ごとに条例等で決まり、保険料率も異なります。 会社の給与天引きの枠組みとは別で扱われるのが一般的です(詳細は自治体の案内をご確認ください)。
まとめ
2026年4月から始まる子ども・子育て支援金。料率0.23%というシンプルな数字の裏には、給与計算の設定・明細表示・休業者対応・社内説明という4つの実務課題があります。
これらを3月中に整えておけば、5月給与は「いつもの月次処理」として淡々と進められます。逆に準備が遅れると、従業員からの問い合わせ対応に時間を取られ、本来の業務が滞るリスクも出てきます。
当事務所は、貴社の運用に合わせた給与計算導入支援を行っております。設定の不安や社内説明でお困りの際は、ご相談ください。
参考(事業主向けリーフレットPDF): 子ども・子育て支援金制度(事業主の皆さまへ)
