賞与支払届とは?提出期限・提出先から社会保険料・雇用保険料の計算方法までまとめて解説(2026/7/17)
夏季・冬季賞与や決算賞与など、従業員に賞与を支給した際には「被保険者賞与支払届」の提出が必要です。あわせて、賞与からは社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)や雇用保険料も控除しなければなりません。この記事では、賞与支払届の基本的な手続きに加え、賞与にかかる社会保険料・雇用保険料の計算方法についても解説します。
賞与支払届とは
賞与支払届は、事業主が被保険者に賞与を支給したときに、社会保険料の計算基礎となる「標準賞与額」を日本年金機構等に届け出るための書類です。この届出により、健康保険料・厚生年金保険料が確定するとともに、将来受け取る年金額の計算にも反映されます。
ここでいう「賞与」は、名称にかかわらず、労働の対償として年3回以下の頻度で支給される報酬全般が対象です。年4回以上支給されるものは、賞与ではなく毎月の給与(標準報酬月額)として扱われます。
提出期限・提出先
提出期限は賞与の支給日から5日以内です。提出先は、加入している健康保険の種類によって異なります。
- 協会けんぽ加入の場合:事業所を管轄する年金事務所(または事務センター)へまとめて提出
窓口持参のほか、郵送、電子申請(e-Gov)、電子媒体での提出にも対応しています。あらかじめ登録した賞与支払予定月に賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」の提出が必要です。
賞与にかかる社会保険料の計算方法
賞与から控除する健康保険料・厚生年金保険料は、次の計算式で算出します。
社会保険料=標準賞与額×被保険者負担率
標準賞与額とは、賞与支給額から1,000円未満を切り捨てた金額です。保険料率は、厚生年金保険が18.3%(労使折半のため労働者・事業主それぞれ9.15%)、健康保険は協会けんぽの場合は都道府県ごとに定められた料率(健康保険組合の場合は組合ごとの規約料率)が適用されます。40歳以上65歳未満の従業員は、これに介護保険料率が加わります。
標準賞与額には上限があり、健康保険は同一年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計573万円、厚生年金保険は1か月あたり150万円(同じ月に2回以上賞与を支給した場合は合算)の標準賞与額が上限です。上限を超える部分には保険料がかかりません。高額な賞与を支給する際は、上限額の管理を誤らないよう注意が必要です。
賞与にかかる雇用保険料の計算方法
雇用保険料は、月々の給与だけでなく賞与にも同様の料率で課されます。計算式は次のとおりです。
雇用保険料=賞与支給額×雇用保険料率
令和8年度(2026年4月1日〜2027年3月31日)の雇用保険料率は、事業の種類ごとに以下のとおり定められています。社会保険料と異なり労使折半ではなく、事業主の負担割合が大きい点が特徴です。
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 雇用保険料率(合計) |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 1,000分の5(0.5%) | 1,000分の8.5(0.85%) | 1,000分の13.5(1.35%) |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 1,000分の6(0.6%) | 1,000分の9.5(0.95%) | 1,000分の15.5(1.55%) |
| 建設の事業 | 1,000分の6(0.6%) | 1,000分の10.5(1.05%) | 1,000分の16.5(1.65%) |
なお、雇用保険料には社会保険料のような上限額はなく、賞与支給額全体に料率を乗じて計算します。集計漏れが起こりやすい項目でもあるため、賞与計算の際は雇用保険の対象となる従業員を漏れなく確認しましょう。
賞与支払届の作成・提出における注意点
- ・氏名や生年月日の相違、支給額の入力誤りなど、記入ミスが起こりやすいため、提出前のダブルチェックが重要です。
- ・提出期限が原則支給日から5日以内と短いため、賞与額が確定した時点から届出の準備を始めることをおすすめします。
- ・健康保険組合加入の事業所では、加入する健康保険組合が独自の届出を求めている場合がありますので、提出先や必要書類をご確認ください。
- ・標準賞与額の上限を超える場合は、被保険者からの申し出に基づく追加の届出が必要になることがあります。
まとめ
賞与支払届は、支給日から5日以内という短い期限の中で、正確な標準賞与額の届出が求められる手続きです。あわせて、賞与から控除する健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料は、それぞれ計算方法や上限の考え方が異なるため、給与計算の担当者にとって間違いやすいポイントでもあります。
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