「熱中症対策」は会社の努力義務ではありません(2026/8/7)
~従業員の命を守るために、企業が今すぐ取り組むべきこと~
こんにちは。社会保険労務士の綾部です。
今年も連日のように「危険な暑さ」が報道されています。
毎年のように熱中症による救急搬送や死亡事故のニュースを目にしますが、実は職場でも多くの熱中症が発生しており、毎年お客様からご連絡をいただいているところです。
これは建設業や製造業だけではありません。
配送業、警備業、介護、農業、営業職、倉庫作業、さらには冷房設備の整っていない工場や店舗など、あらゆる職場で熱中症のリスクがあります。
こうした状況を受け、職場における熱中症対策は、労働安全衛生規則の改正により一定の場合に事業者の義務となりました。
「まだ何も準備していない…」
という企業様も少なくありません。
今回は、初めての方にも分かるように、企業が取り組むべき熱中症対策について解説します。
なぜ企業が熱中症対策をしなければならないのか?
会社には、従業員が安全で健康に働ける環境を整える安全配慮義務があります。
熱中症は、
・体調不良
・めまい
・意識障害
・最悪の場合は死亡
に至ることもある重大な労働災害です。
しかも恐ろしいのは、
「少し休めば大丈夫だろう」
という油断が重症化につながるケースが多いことです。
だからこそ、
「個人の体調管理」
だけに任せるのではなく、
会社として予防すること
が求められています。
法改正で何が変わったの?
一定の高温環境で長時間作業を行う職場では、
事業者は熱中症を防止するための体制整備や手順の作成、従業員への周知などを行う必要があります。
対象となる代表的な作業は、
・屋外作業
・工場内作業
・倉庫作業
・配送業務
・建設現場
・警備業務
などですが、
実際には「暑熱環境で働く職場」であれば幅広く対策を検討することが望まれます。
企業が取り組むべき5つの対策
① 作業環境を改善する
まず重要なのが、
「暑くならない環境づくり」
です。
例えば、
・エアコンや送風機の設置
・ミスト設備
・日よけの設置
・空調服の活用
・冷却ベストの導入
などがあります。
設備投資は費用がかかりますが、
従業員の命には代えられません。
② 水分・塩分補給をルール化する
「喉が渇いたら飲む」
では遅いことがあります。
例えば、
・30分ごとに水分補給
・スポーツドリンクや経口補水液を準備
・塩分補給タブレットを配布
など、
会社としてルールを決めることが重要です。
③ 休憩時間を確保する
忙しい時ほど、
「あと少しだけ」
が事故につながります。
WBGT(暑さ指数)や気温に応じて、
休憩時間を増やす、
作業時間を短縮する、
交代制にする、
など柔軟な対応が必要です
④ 毎日の体調確認
熱中症は、
睡眠不足
飲酒
朝食抜き
体調不良
持病
などでも発症しやすくなります。
そのため、
朝礼時に
「昨日しっかり眠れましたか?」
「体調はどうですか?」
と一言確認するだけでも大きな効果があります。
⑤ 緊急時の対応を決めておく
もし熱中症が疑われたら、
誰が判断するのか
誰が救急車を呼ぶのか
誰が付き添うのか
これを決めていますか?
実際には、
「どうしたらいいか分からない」
という会社も少なくありません。
だからこそ、
事前にフローチャートを作っておくことが大切です。
「うちは大丈夫」が一番危ない
熱中症は、
毎年発生しています。
しかも、
事故が起きた会社の多くが
「まさか自分の会社で」
と思っています。
特に、
中小企業では、
「少人数だから」
「今まで事故がなかったから」
という理由で対策が後回しになりがちです。
しかし、
事故が起きてからでは遅いのです。
明日からできる3つのこと
もし何から始めたらよいか分からない場合は、
まずはこの3つだけでも始めてください。
① 毎朝の体調確認を行う
朝礼で一言、
「体調に不安がある人はいませんか?」
と確認しましょう。
② 水分補給タイムを決める
「各自で」
ではなく、
会社として時間を決めることが大切です。
③ 熱中症対応マニュアルを作る
誰が、
何を、
どの順番で行うのか。
これを決めておくだけでも対応は大きく変わります。
熱中症対策は「従業員への思いやり」
熱中症対策は、
法律だからやるものではありません。
従業員の命を守るため、
安心して働ける職場をつくるために行うものです。
安全に働ける会社は、
従業員の定着率も高く、
採用活動でも選ばれやすい会社になります。
つまり、
熱中症対策は、
「安全衛生対策」であると同時に、「人材定着・採用対策」でもあるのです。
綾部事務所がお手伝いできること
社会保険労務士法人綾部事務所では、
・熱中症対策の社内ルール作成
・熱中症対応フローチャートの作成
・安全衛生に関する規程整備
・管理職向け研修
・従業員向け安全衛生研修
・労働安全衛生法対応のご相談
など、企業の実情に合わせたサポートを行っています。
「うちは対象になるの?」
「何から始めればいい?」
「マニュアルを作りたい」
そんなご相談も大歓迎です。
お気軽に綾部事務所までお問い合わせください。
最後に
猛暑は、もはや「夏だから仕方がない」では済まされない時代になりました。
従業員の命を守ることは、会社を守ることでもあります。
事故が起きてから後悔するのではなく、事故が起きない職場をつくる。
今年の夏は、その第一歩を踏み出してみませんか。
