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令和8年10月1日、パート・有期雇用のルールが変わります~「同一労働同一賃金」をきっかけに、中小企業こそ賃金・評価制度を見直すとき~(2026/9/18)

こんにちは。社会保険労務士の綾部です。

令和8年10月1日から、パートタイム・有期雇用労働者に関するルールが変わります。

今回の改正は、単に労働条件通知書の書き方が変わるというだけではありません。

大切なのは、

「なぜ正社員とパート社員で給与や手当が違うのか、会社として説明できますか?」

という点です。

厚生労働省は、今回の改正で「同一労働同一賃金」をさらに一歩進め、企業に対して待遇差の説明や、公正な評価に基づく賃金決定をより強く求めています。

今回は、法律を知らない方にも分かるように、法改正のポイントと、中小企業がこれから取り組むべき賃金・人事制度について解説します。

そもそも「同一労働同一賃金」とは?

「パートだから給料が安くてもいい」

「契約社員だから賞与はなくて当然」

という考え方は、現在の法律では通用しません。

パートタイム・有期雇用労働法では、同じ企業で働く正社員とパートタイム・有期雇用労働者との間で、基本給、賞与、各種手当、福利厚生などに不合理な待遇差を設けることを禁止しています。

ただし、

「正社員とパート社員は、すべて同じ賃金にしなければならない」

という意味ではありません。

仕事内容、責任の重さ、人材活用の仕組み、配置転換の範囲などに違いがあれば、それに応じた待遇差が認められる場合があります。

重要なのは、

「なぜ差があるのかを説明できること」

なのです。

令和8年10月から何が変わる?

今回の改正には、大きく3つのポイントがあります。

まず、パート・有期雇用労働者を雇い入れる際の労働条件通知書などに、「正社員との待遇差の内容や理由について説明を求めることができる」旨を明示することが必要になります。この明示義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となり得ます。

さらに「同一労働同一賃金ガイドライン」も改正され、賞与・退職手当、家族手当、住宅手当、無事故手当、福利厚生施設、病気休職などについて、どのような待遇差が不合理となり得るかがより明確になります。

そしてもう一つ重要なのが、

パート・有期雇用労働者の賃金について、公正な評価に基づいて決定することが望ましいという点です。

厚生労働省は、職務の内容、成果、意欲、能力、経験などを公正に評価し、昇給等に反映することを示しています。また、正社員とパート社員で共通する職務がある場合には、共通する賃金制度や評価項目を設けることも考えられるとしています。

そこで重要になる「職務分析」

ここからが、中小企業にとって本当に重要な部分です。

会社の給与を見て、

「この人は月給30万円」

「この人は時給1,200円」

という金額だけを比べても、その差が合理的かどうかは判断できません。

そこで活用したいのが職務分析です。

職務分析とは、仕事に対してその仕事にはどれくらいの知識、能力が必要か、どの程度の精神的負荷や肉体的負荷があるのかを分析し、整理し、(職務記述書あるいは明細書と言われます)その整理した内容について、職務の難易度が高いか低いかを職務評価の手法を使って職務の相対的な難易度の高さを調べます。(個々人の能力の評価ではありません。)

厚生労働省も、職務分析を「職務に関する情報を収集・整理し、職務内容を明確にすること」と説明しています。さらに職務評価を行うことで、正社員とパート・有期雇用労働者の基本給について、待遇差が妥当かを客観的に確認することができます。

「人」で給料を決める会社から、「仕事」で決める会社へ

中小企業では、

「社長がなんとなく給与を決めている」

という会社も少なくありません。

もちろん、これまではそれでも運営できました。

しかし、社員が

「なぜ自分はこの給与なのですか?」

「同じ仕事をしているのに、なぜ待遇が違うのですか?」

と質問したとき、

「昔からそうだから」

「正社員だから」

では、今後は説明として十分とは言えません。

これからは、

職務・役割・責任に応じて賃金を決める「職務型」の考え方

を少しずつ取り入れていくことが重要だと考えています。

例えば、

職務分析、職務評価の結果、仕事の価値や責任、難易度が明らかになります。

そこで「この仕事は価値が高く、難しく責任が重い仕事だ」ということになれば、高い職務給を支払うといった形です。

職務分析の過程で、作業レベルで洗い出しますので、正社員とパートの職務内容について明確に判別することができるようになります。

すると、「なぜこの給与なのか」が説明できる会社

になります。

評価制度もセットで考える

職務を整理したら、次は評価制度です。

職務分析の際は、作業を洗い出すだけではなく、成果指標や先行指標も合わせて設定することから、評価が容易に行えます(但し、その過程に手間はかかります)

そして、その評価を

に反映する仕組みを作ります。

こうすることで社員は、

「何を頑張れば給与が上がるのか」

が分かるようになります。

これは法律対応だけでなく、人材育成や定着にも大きな効果があります。

今、中小企業が取り組むべき3つのこと

今回の法改正をきっかけに、私は次の3つをおすすめします。

1つ目は、職務分析を行い、職務の明確化を図ること

2つ目は、職務分析の結果を、職務評価につなげ、賃金・評価制度につなげること。

3つ目は、正社員とパート・有期雇用社員の待遇差を説明できるか確認すること。

ここまで進めることで、法改正への対応が単なる「守り」ではなく、会社を強くする「攻め」の人事制度になります。

法改正は、会社を良くするチャンスです

同一労働同一賃金という言葉を聞くと、

「また会社の負担が増えるのか」

と思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし私は、今回の改正は

「働き方や給与の決め方を見直す良いきっかけ」

だと思っています。

給与の理由を説明できる。

頑張ればどう成長できるか分かる。

役割が明確になる。

評価に納得感が生まれる。

こうした会社は、社員にとっても働きやすい会社です。

そして、人口減少・人材不足が続くこれからの時代、

「納得して働ける会社」であること自体が、大きな採用力・定着力になります。

綾部事務所がお手伝いします

社会保険労務士法人綾部事務所では、

などをサポートしています。

「うちの給与体系は大丈夫?」

「パート社員に待遇差を聞かれたら説明できない…」

「評価制度を作りたいけれど、何から始めればいいか分からない」

そんな段階でも大丈夫です。

まずは今の制度を一緒に整理するところから始めましょう。

法律に合わせるだけではなく、

社員が成長し、会社も成長する仕組みをつくる。

それが、これからの中小企業の人事制度に必要な考え方だと思います。

綾部事務所は、経営者の想いに寄り添いながら、「人」に関する仕組みづくりを一緒に考えてまいります。

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