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「それ、ハラスメントかも?」職場の空気を乱す“グレーゾーンハラスメント”への向き合い方(2025/8/8)

「何となく居心地が悪い」
「気にしすぎかもしれないけれど、集中できない

最近、明確な違法行為やパワハラ・セクハラには該当しないものの、周囲に強いストレスを与えるグレーな迷惑行為が問題視されています。
これらはグレーゾーンハラスメント(通称:グレハラ)と呼ばれ、法的には白黒つけづらいが、放置すると職場の空気やチーム力をじわじわ蝕む
やっかいな存在です。

今回は、そんなグレハラの事例・対策・実務上の注意点を解説します。


グレーゾーンハラスメントとは?

グレハラとは、意図的ではないが周囲を不快にさせる迷惑行為のことを指します。
加害者本人に「嫌がらせ」のつもりはなく、「個性」「癖」「習慣」で済まされがちです。

しかし、実際には被害者や職場全体にとっては大きなストレス源となり、集中力の低下や人間関係の悪化、離職リスクにまでつながるケースも少なくありません。


よくあるグレハラの事例

1. 無意識の独り言や舌打ち

「なんでこれやらないんだよ」「はぁ、またか」など、明確に誰かを責めていないつぶやきが、周囲にプレッシャーを与えてしまうことがあります。

2. 足音・ドアの開閉など環境音

ヒール音や乱暴なドアの開閉など、不機嫌さや苛立ちをで表現してしまう行動も、実は周囲に強いストレスを与えています。

3. 溜息・首振り・にらみつける

本人は無意識でも、視覚的・聴覚的に批判として受け取られ、職場の安心感を削ぐ行為に。

4. 「やめたら?」などの無責任な言葉

部下や同僚が落ち込んでいる時に「そんなに嫌ならやめたら?」と口にするのも、明確な攻撃意図がなくとも、心に深く突き刺さるハラスメントの一種です。


グレハラの職場への影響

このような些細だけれど継続的なストレス源があると、職場の空気は確実に悪化します。

特に、中小企業では物理的に距離が近く、逃げ場が少ないため、こうしたグレハラが問題化しやすいのです。


「でも、注意しづらい」が経営側の本音

グレーゾーンであるがゆえに、「注意すると逆にトラブルになりそう」「被害妄想と思われたくない」と、対応をためらってしまう経営者や上司も少なくありません。

とはいえ、放置してはいけません
なぜなら、1人の問題を放置することは、組織全体の信頼性やチーム力を損なうリスクがあるからです。


辞めさせたいが直接的な解雇は難しい

「困った社員には辞めてもらいたい」と考える経営者も多いですが、グレハラを理由にした即時解雇は極めて困難です。
あくまで「雰囲気が悪い」「空気が重い」といった主観的評価ではなく、客観的な記録・面談・改善指導のプロセスが必要です。


実務対応のポイント

1. 記録を残す(客観化)

・周囲からの聞き取り記録(匿名でOK
・日付・内容・状況を残したメモ
「被害者の印象」ではなく、「事実の積み重ね」が重要です。


2. 本人と面談を行う

・初回はあくまで注意ではなくヒアリング
・自覚がない場合は、「こういう声がある」と伝え、事実と感情を切り離して伝えるのが効果的です。
・本人が反発しないよう、良くなるための対話という姿勢で臨むこと。


3. 就業規則に「職場秩序保持義務」などの文言を明記

グレーな行為にも一定のルールがあることを示すことで、注意や改善指導の正当性が高まります。


4. 場合によっては配置転換・退職勧奨も視野に

・改善が見られない場合や、他の社員への悪影響が大きい場合は、配置転換や退職勧奨(任意)も検討すべきです。
・ただし、このプロセスも法的リスクを避けるため、専門家の関与が望ましいです。


社内の安心感は、生産性と直結する

経営者にとって「明るい職場」「風通しの良い環境」という言葉は、やや抽象的に聞こえるかもしれません。
しかし実際は、社員が安心して働ける環境こそが、最大のパフォーマンスを引き出す土台となるのです。

グレハラは、組織の見えない病巣です。
早めに気づき、正しく向き合うことで、企業全体の生産性と定着率を改善できます。


まとめ

グレハラ対策、就業規則の整備、問題社員への対応にお困りの方は綾部事務所までご相談ください。
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