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パート・有期社員の説明要求権明示義務化-あなたの会社は大丈夫ですか?(2025/12/26)

※本記事は2025年12月25日時点の情報に基づいています。最新情報は厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

正社員とパート・有期雇用労働者の待遇格差について、従業員から 「なぜ私たちの給与は正社員より低いのですか?」と質問されたとき、明確に説明できますか?

2025年12月、厚生労働省から発表された報告書案により、パート・有期雇用労働者の雇入れ時に、 待遇差について「事業主に説明を求めることができる旨」の明示が必要となる方向で検討が進められています。

※現時点では報告書案の段階であり、今後、労働政策審議会での審議を経て、 省令改正などの法制化プロセスが進められる見込みです。 施行時期については、正式な発表をお待ちください。

働き方改革から5年、さらなる透明性が求められる時代へ

2019年の働き方改革関連法施行から5年が経過し、 「同一労働同一賃金」という言葉は広く知られるようになりました。 しかし、地方の中小企業では、人手不足や採用難の中で、 正社員とパート・有期社員の待遇差について十分な説明体制が整っていないケースが少なくありません。

今回の報告書案では、これまでパート・有期雇用労働者から求めがあった場合に限定されていた説明義務を、 さらに一歩進めて「説明を求める権利があることを最初から明示する」ことが提言されています。 具体的には、雇入れ時の労働条件明示書に 「待遇差について説明を求めることができます」という内容を記載することが想定されています。

よくある「説明に困る」場面とその背景

※以下は理解を深めるための架空の事例です。

【事例1:製造業の場合】

製造ラインで同じ作業を行っている正社員と契約社員がいるケースを考えてみましょう。 両者とも同じ製品の組立作業を担当し、日々の業務内容はほぼ同じです。 しかし、基本給で月額5万円、賞与を含めると年間で100万円以上の差があります。

勤続5年のベテラン契約社員から 「仕事の内容は同じなのに、なぜこれだけ給与が違うのですか?」と質問されたとき、 多くの企業は明確な説明ができません。 「正社員だから」「雇用形態の違い」という説明では、 同一労働同一賃金の観点から不十分です。

実際には、正社員には配置転換の可能性、繁忙期の残業対応義務、 若手の指導責任などが期待されていますが、 これらが就業規則や職務記述書に明文化されておらず、 日常業務では表面化しないため、待遇差の説明が困難になっています。

【事例2:小売業の場合】

店舗で接客業務を担当する正社員とパート社員の間で、 時給換算すると大きな差があるケースもあります。 レジ対応、商品陳列、在庫管理など、日々行う業務はほぼ同じです。 賞与や各種手当を含めると、年収で200万円以上の差が生じることもあります。

パート社員から 「やっていることは同じなのに、正社員だけボーナスがあるのはなぜですか?」 と質問された際、 「正社員は転勤の可能性がある」と説明しても、 実際には地域限定で採用された正社員も多く、 10年以上転勤していない社員もいるため、説得力に欠けます。

また、「クレーム対応は正社員が担当する」と説明しても、 実態としてはパート社員も日常的にクレーム対応をしているため、 明確な職務の違いを示すことができません。 このように、雇用形態による待遇差の合理的な理由を、 日々の業務実態に基づいて説明することが難しいケースが多く存在します。

報告書案で示された今後の方向性

新たな制度では、以下のような対応が求められる見込みです。

今すぐできる対応策 透明性の高い職場づくりへ

このような法改正対応への不安を抱えている経営者の方に、 綾部事務所では以下のような支援を行っています。

1. 人事評価制度構築で明確な基準作り

待遇差を合理的に説明するためには、まず職務内容や責任の範囲、 求められるスキルレベルを明確に定義する必要があります。 人事評価制度の構築により、正社員とパート・有期社員それぞれの役割と期待値を明文化し、 それに基づく処遇の違いを客観的に示すことができます。 これは採用難の時代において、従業員のモチベーション向上や人材定着にもつながる重要な取り組みです。

2. 就業規則見直しと労働時間ルール整備

現在の就業規則で、雇用形態別の職務内容や待遇の根拠が明確に記載されているでしょうか。 制度変更への対応を機に、就業規則を見直し、 各雇用形態の位置づけや昇格・昇給の基準を明記することで、労務リスクの軽減につながります。 また、労働時間ルールの整備により、 残業代などの取り扱いについても透明性を高めることができます。

3. 採用段階からのミスマッチ防止支援

待遇差の説明責任を果たすためには、採用の段階から自社に合った人材を見極めることが重要です。 会社のペルソナ(求める人物像)を明確化し、 それに基づいた求人票の作成や面接プロセスの設計を行うことで、 入社後の待遇に関する認識のズレを防ぐことができます。

「この会社でどんな役割を担ってほしいのか」 「正社員とパート・有期社員それぞれに何を期待するのか」 を明確にした上で採用活動を行うことで、 入社時点から雇用形態ごとの役割と待遇の関係性を相互に理解した状態でスタートできます。 これにより、後々の説明責任もスムーズに果たせるようになり、 人材の定着率向上にもつながります。

未来志向の経営のために

今回の制度変更の方向性は、一見すると企業側の負担増加に感じられるかもしれません。 しかし、透明性の高い職場づくりは、 結果として従業員のエンゲージメント向上、離職率の低下、 そして良い人材の獲得につながります。 地方の中小企業こそ、「この会社で働く理由」を明確に示すことで、 DX化や働き方改革の波の中で競争優位を築くことができるのです。

制度変更への対応を単なるコンプライアンス対応として捉えるのではなく、 組織力強化のチャンスとして活用してはいかがでしょうか。 「何をすればいいかわからない」という不安を抱えている経営者の方も、 適切なご支援を受けることで、従業員にとってより魅力的な職場づくりにつなげることができます。

まとめ

待遇差の説明責任強化の方向性は、今後の人材確保戦略において重要な課題となります。 早めの対応準備により、労務リスクを軽減しながら、 従業員との信頼関係を深めることができます。

人事評価制度の構築、就業規則の見直し、人材定着支援についてお困りの際は、 綾部事務所までお気軽にご相談ください。

参考情報

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